蓮沼町のアパートメント
2020〜2024

形式と脱形式の重なり 東京郊外の中山道から一本路地を入った先の角地に敷地は位置している。周辺では幅の狭い商店街の街路に沿って兼用住宅が稠密に建て込み、駐車場が空地として点在している。良好な住環境とは言い難い周辺なので、敷地内に住民のための空地的な場所をつくりたいと考え、コンパクトなヴォリュームにまとめて外部空間を確保する方針と、また設計を始めて間もなくしてコロナ禍となったことも併せて共用部のない長屋を検討することにした。 しかし求められた床面積と住戸数から単純な長屋形式は採ることは難しい。そこで4つの住戸を包含し、半地下とした4階建ての2棟を離して配置し、その間をひとつの住戸が入る基壇と屋上のブリッジによって繋ぐ構成とした。すべて1・2階、3・4階の組み合わせのメゾネット住戸として、入口を2・3階に集約した重層長屋のような形式である。 各住戸へのアプローチは上空が開放された階段状の基壇に上るので、一度住人がその場に集まるが、一方でそこからは各住戸へ独立した入口を持つ。コモンとプライベートが重なったような場所である。階段状の基壇は建築化された外部なので、共用部を持もたない厳密な意味での長屋の形式とは言いえない。 またズラして配置された分棟的な建ち方のふたつのヴォリュームでは、各住戸が多方向に開口を持つ良好な室内環境が得られる。それらは基壇とブリッジによって繋がっているので、周辺に対しては統合された建築としての構えも併せ持ち、純粋な分棟とも言えない。 この建築において上述した基壇のような場をどのように呼べばよ良いか。空地的であるが、建築化されている。階段の踊り場のようであり、屋上広場にも思える。分棟や長屋といったある種の形式とそれをズラした脱形式を同時に重ねたような建築のあり方による場は、ズラされている訳なので、現在において的確な名付けはない。名付けは形式化なので、何とも言い難いその場が、制度から解放された建築の萌芽となるのだろう。
敷地 : 東京都板橋区
用途:共同住宅(賃貸)
敷地面積:245.93m2
建築面積:162.51m2
延床面積:475.93m2
規模:地上4階
構造:鉄筋コンクリート造
構造設計:オーノJAPAN
写真:中山保寛




















